第84回対北野定期戦の結果は、24対20で勝利し通算成績を天王寺の53勝29敗２引き分けとしました。
10月14日（日)夕刻４時、雨天が報じられていた近鉄花園ラグビー場第一グラウンドは暮れゆく薄曇りで、何かがおこりそうな雰囲気を醸し出していました。昨年０対97と記録的な苦杯をなめた北野は捲土重来を期し必死の思いで一年を過ごしこの定期戦に臨んで来ました。一方我が天王寺は、三年生ふたりでスタートしたチームで一年生が入部し15人でゲームが組めたのが５月に入ってからという素人集団で、公式戦はもとより練習試合を含めほとんど勝ち知らずでの無勝利チームでした。先の全国大会大阪府予選でも、格下の池田高校にゲームが作れず一回戦の敗退でした。
試合に先立ち、昨年の勝利チーム天王寺から、阿部幸作杯をはじめ４つの優勝杯・楯が今回当番の北野高校石本校長先生に返還されました。三年続けて勝利して天王寺高校の校長室に保持し続けられていたこれらの名誉ある優勝杯・楯を返還する宮本キャプテンの胸中はいかなるものだったのでしょうか。
定刻の夕方４時に島本高校宮野レフェリーのフォイッスルが運命の時を告げました。天王寺は今年のひとつののテーマである陣地を取る作戦でキックでボールを前に運び、北野は早いテンポでＢＫにボールを展開する作戦で、まるで天王寺が北野で北野が天王寺と見まがう様相で序盤は一進一退でした。
前半７分、ボールを敵陣２２メーターライン左に運んだ天王寺がマイボールスクラムからＮＯ８高井がボール右に持ちだし、ラックからいいタイミングで右に出し１０番松尾から１３番末石が中に切れ込み、ゲインラインを突破したところでボールが繋がり最後は１2番敲森がトライ。（５−０）
９分、北野がハーフウェイラインあたり左ラインアウトから１５番がいいスピードでライン参加し右ウィングが１対１で走り勝ち右中間にトライ（５−５）北野はこのフルバックが要であるとの戦前の分析でこの攻撃は想定内なれど予想以上のスピードでした。
１５分、天王寺敵陣左ラインアウトからモール攻撃を再三繰り返し最後までFWにこだわり、モールを押し込みトライ、ゴール成功（１２−５）グラウンドが使用出来ない日も人工芝でモールの練習を繰り返し、強くバインドしたモールが組めるようになりました。BKの力量は北野が上と読んだ田中采配が徹底したFW戦を選択し、時折見せるBKの個人技が効果的で、前半は安定したゲーム運びでした。
後半５分、北野右隅にボールを持ち込みモールを押し込みトライ（１２−１０）。１０分天王寺敵陣２２メーターライン相手スクラムより９番植田が北野１０番のタッチキックを好チャージし１０番松尾が好捕好走しトライ、ゴール成功（１９−１０）。天王寺FWのモール・ラックサイドのデフェンスが良く、ターンオーバーするケースがしばしば見られる。
１５分、北野モールを押し込み左ラインから１５番が好走し、左ウイングがトライ（１９−１５）。２８分天王寺FWが再三のモールでゴール前までボールを運び、キャプテン６番宮本が抜け出しトライ（２４−１５）。２９分北野同じパターンで左ラインに１５番が走り込みウイングがトライしゴールも決まって（２４−２２）でノーサイド、宮本組のベストゲームでした。
試合後北野高校石本校長先生から、再び４つの優勝杯・楯が授与され、宮本キャプテン・東副キャプテンの想いは万感であったと思います。この一年本当にご苦労さんでした。
アフターゲームファンクションでは、北野高校石本校長先生・天王寺高校岡校長先生・両校OB会・宮野レフェリーからゲームの講評を頂き、両校エールの交換で伝統の定期戦を終えました。北野と天王寺の定期戦は高校の定期戦では最も古く、８４回の歴史が刻まれています。お互いにこの相手には絶対勝ちたいという強い思いが切磋琢磨し合い、途絶えることなく８４年続いて来ました。今日はその新しい１ページを高校６０期の宮本キャプテンと東副キャプテンがりっぱに描いてくれました。お疲れ様でした。